カテゴリー「船戸与一」の95件の記事

2026年7月 1日 (水)

【読】2026年6月に読んだ本(読書メーター)

6月の読書メーター
読んだ本の数:10
読んだページ数:2871
ナイス数:141

日本史はいかに物語られてきたか (新潮選書)日本史はいかに物語られてきたか (新潮選書)感想
ネット情報で知り、面白そうだったので図書館から借りて読んだ。私には難しい内容だった。専門的すぎて半分も理解できなかったが、触発されるところも多かった。全17勝のうちで、百田尚樹、網野善彦、吉本隆明、松本清張、家永三郎、羽仁五郎あたりが面白かった。序章で紹介されている杉原志啓『おもしろい歴史物語を読もう』は読んでみたい(ネットで中古本を購入)。巻末に書名・資料一覧、人名一覧のような索引があるとよかったのに、少し残念。
読了日:06月01日 著者:河野 有理

新装版 父の詫び状 (文春文庫)新装版 父の詫び状 (文春文庫)感想
近々開催される朗読会で「父の詫び状」「お辞儀」がとりあげられる。それがきっかけで読んでみた。『父の詫び状』『眠る盃』の二冊が本棚から消えて何年もたつ。読んだのか読まずに手放したのか。あらためて向田さんの技量に舌を巻いた。よくできた短編映画24編を続けて観たような…。場の転換がみごとで、映像的なのだ。個々のエッセイのタイトルも秀逸。沢木耕太郎さんが巻末解説で、向田ワールド(そのエッセイ)の魅力を余すところなく綴っている(15ページにわたる)。この文庫解説執筆中(昭和56年8月)に向田さんは亡くなったという。
読了日:06月03日 著者:向田 邦子

夢を撃つ男 (ハルキ文庫 に 4-1)夢を撃つ男 (ハルキ文庫 に 4-1)感想
船戸与一情報を検索して見つけたアンソロジー。さほど名の知られていない作家の作品も含め、7編からなる短・中編集。なんといっても船戸さんの『キラー・ストリート』が秀逸。他では、森詠『霧の街』、藤田宣永『窓ガラス越しのマドンナ』が面白く、佐伯泰英『エチェガライ通り』、斎藤純『甘い引金』も読ませる。巻頭の2編、私のまったく知らない作家の作品だが、私は感心しなかった。お世辞にも上手とは言えない(私見です)。
読了日:06月06日 著者:船戸 与一

鶏まみれ鶏まみれ感想
新聞書評で知り図書館にリクエストして収蔵してもらった。この著者の本は初めて。読みやすい文章の好著。小6の長男が「養鶏したい」と言い出して庭先養鶏を始めたことがきっかけで、リストラされていた夫が本格的な養鶏業を始めようとする。著者は鶏を食肉販売したくなり「食鳥処理衛生管理者」資格を取得に必要な実務経験を積むため、食鳥処理場(大量の生きたブロイラーを屠り、解体、精肉する工場で3年超、過酷な仕事に携わる。この仕事の信じられないほどのキツさには驚嘆。本書のいたるところで吐露される著者の食への考察が鋭い。いい本だ。
読了日:06月11日 著者:繁延 あづさ

山と獣と肉と皮山と獣と肉と皮感想
ひとつ前に読んだ同じ著者の『鶏まみれ』に感服(感動)し、その前作(出版順では前々作)のこの本を、やはり図書館から借りて読んだ。東京から長崎への移住の顛末。長崎での猟師のおじさん(セルシオに乗り、金のネックレスにサングラスのユニークな老人)の狩猟(罠猟)への同行と、その中で考えたこと。佐賀県に住む「謎のケモノ使い」の猟銃と犬による狩猟への同行。最後に皮革職人への取材(皮が革に変わる過程への関心)。これらが親しみやすい文章で綴られている。著者の考察の深さには脱帽。『ニワトリと卵と、息子の思春期』も読みたい。
読了日:06月12日 著者:繁延 あづさ

ラヴ・マイナス・ゼロラヴ・マイナス・ゼロ感想
別のアンソロジー『夢を撃つ男』(日本冒険作家クラブ編 ハルキ文庫)に収録されていた船戸与一「キラー・ストリート」が収録されていると知り、古本をネットで購入。北上次郎による巻末解説を読んで驚いた。この本、甲斐バンドの新譜レコードのタイトル「ラヴ・マイナス・ゼロ」を書名とし、アルバム収録9曲のタイトルを各短編のタイトルとした書き下ろしアンソロジーだった。9作品の執筆者は後から決めたという(大沢在昌、北方謙三、森詠、船戸与一、西木正明、他)。甲斐バンドのアルバム発売には間に合わず、別途出版(1985年)された。
読了日:06月14日 著者:内山 安雄

ニワトリと卵と、息子の思春期ニワトリと卵と、息子の思春期感想
繁延あづささんの三冊目。地元図書館になかったので、自腹で購入。さして長くない本なので、一日で一気に読了。これまで読んだ二冊の狭間に出版されたもので、長男の希望で始めた自家養鶏のことと、思春期を迎えた長男との関係にスポットがあてられている(タイトルどおり)。私には経験がなく、実感がないが、思春期の男の子を持つ母親の葛藤とは、こういうものか。この一家、服部文祥・小雪夫妻の家族を彷彿とさせるが、繁延あづささんの感性というか考え方は、ユニークで、親しみが持てる。
読了日:06月16日 著者:繁延 あづさ

おもしろい歴史物語を読もう (NTT出版ライブラリー レゾナント048) (NTT出版ライブラリーレゾナント)おもしろい歴史物語を読もう (NTT出版ライブラリー レゾナント048) (NTT出版ライブラリーレゾナント)感想
すこし前に読んだ河野有理『日本史はいかに物語られてきたか』新潮選書(2026/5/20)で、その著者が推奨していたので興味を持ち、古本をネットで購入。<「歴史」は「物語」である>という著者(これまで全く知らなかった人)の考え方に同意する(『日本史はいかに物語られてきたか』の著者もそう考えている)。取りあげられている史書類は、私には馴染みの薄いものばかりだが、面白そう(たぶん読まないと思うけど)。この著者が熱を入れている松本清張。俄然、読んでみたいと思うようになった。
読了日:06月19日 著者:杉原 志啓

眠る盃 (講談社文庫 む 5-1)眠る盃 (講談社文庫 む 5-1)感想
ずいぶん前に読んだ記憶がうっすらとある。名文「中野のライオン」はよく憶えていたので、たぶん再読。すこし前に読んだ『父の詫び状』(文春文庫)の巻末解説(沢木耕太郎)で、沢木さんが冒頭に挙げていた「消しゴム」(初出は1978年)も名文。1978~79年頃、さまざまな雑誌に掲載されたエッセイ(雑文と言ってもいいか)が集められている、向田さんの二冊目の「随筆集」。短い文章群なので、少しずつ味わいながら、他の本と併読した。向田さんは昭和4年生まれ。私の亡母と同年代にしてはモダンな生活をしていた女性だった。
読了日:06月22日 著者:向田 邦子

蝦夷の侍 風の市兵衛 弐(祥伝社文庫つ5-43)蝦夷の侍 風の市兵衛 弐(祥伝社文庫つ5-43)感想
時代小説に詳しい知人が絶賛していたのを知り、読んでみた。シリーズ物の34冊目(書き下ろし)。時代小説の世界では人気の、多作の作家らしいが、私には未知の人。文化文政の頃、蝦夷地と江戸が舞台というのが、私の興味を惹いた。松前や西蝦夷地のアイヌコタンの様子が丁寧に描かれていて、感心した。江戸の「船手組同心」の世界、そこからはみ出して蝦夷地に渡った主人公が魅力的だし、彼の復讐譚がハッピーエンドで締めくくられたのにも、ホッとした。知人が言っていたように、この作家の文章がいい。
読了日:06月25日 著者:辻堂 魁

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2026年6月 1日 (月)

【読】2026年5月に読んだ本(読書メーター)

5月の読書メーター
読んだ本の数:12
読んだページ数:4953
ナイス数:161

藪枯らし純次 (徳間文庫)藪枯らし純次 (徳間文庫)感想
船戸与一後期(2008年)の傑作。伝奇ミステリーの色が濃厚。再読のはずだが、すっかり内容を忘れていて、最後まで夢中になって読んだ。この作品は横溝正史の世界を連想させるが、そこは船戸さん。戊辰戦争、郷里の山口(萩藩)の歴史的事件や今に続く怨念をからませるところなど、この作品と同時期(2007年頃)に執筆された『満州国演義』の導入部や『新・雨月 戊辰戦役朧夜話』(2010年)を思い起こさせる。やはり国内(五島列島)を舞台にした作品『龍神町龍神十三番地』(1999年)があるが、それよりもずっとよく出来ている。
読了日:05月02日 著者:船戸 与一

夜来香海峡 (講談社文庫 ふ 30-16)夜来香海峡 (講談社文庫 ふ 30-16)感想
これもたぶん再読。2009年、大作『満州国演義』執筆中に取材し書かれたものだと、巻末の解説(井家上隆幸)で知った。この時期の船戸さんの傑作だと思う。『流沙の塔』『緋色の時代』で描かれた世界情勢と重なる世界。井家上さんの解説では、この時期の船戸ワールドの魅力が的確に指摘されている。<これほどまでにおもしろくて、現代史と世界と真っ向から格闘している小説はまれである>と。ただ一点、主人公が尊敬する老人が、なぜあれほどまで死に急いだのか、説得力に欠ける気が。イタリア車マセラッティを偏愛するヤクザの兄貴が魅力的。
読了日:05月04日 著者:船戸 与一

ダークネスダークネス感想
ひさしぶりの桐野作品。図書館予約待ち行列に並び、発売後10か月、ようやく順番がきた。一気に読了。「村野ミロ」シリーズの本当の完結編のはずだが、最後のクライマックス後、ミロがどうなるのかが気になる。その意味では消化不良。ミロシリーズ第一作(タイトルは忘れたが)からすべて読んでいたので、この作品でのミロの背景を何とか思い出した。シリーズを読んでいないと、ちと厳しいかも。ハルオとミロを取り巻く新しい(前作から20年後の)人間関係が波乱に満ちていて、最後までどうなるのか期待を持たせる。桐野夏生の筆力に脱帽。
読了日:05月06日 著者:桐野 夏生

朝日のようにさわやかに (新潮文庫)朝日のようにさわやかに (新潮文庫)感想
タイトルに惹かれて読んでみた。名前だけは見知っていたが、はじめて読む作家。収録作のタイトル「朝日のようにさわやかに」「あなたと夜と音楽と」は共にジャズのスタンダードナンバーで期待していたが、ジャズ小説ではなかった。さまざまなテイストの短編とショートショート14編。面白いものもあり、そうでもないものも。SF風の「冷凍みかん」はよかった。この多作の作家、長編が多いようだが、この短編集に限っての印象では、村上春樹の短編を彷彿とさせた(個人的な印象)。直木賞受賞作と受賞後第一作ぐらいは、いつか読んでみたい気も。
読了日:05月08日 著者:恩田 陸

八日目の蝉 (中公文庫 か 61-3)八日目の蝉 (中公文庫 か 61-3)感想
ずーっと読みたいと思っていたこの作品。映画化された人気作だが、内容についての予備知識なしで初読。古本で手に入れた中公文庫の解説が池澤夏樹さっだのは拾い物(いかにも池澤さんらしい優れた解説)。<心を震わせるラストまでページを繰る手が止まらない!>(カバー帯の惹句)が大げさでなく、ぐいぐい引き込まれながら読了。<最後の海の場面の抑制された美しさまで、読者は波瀾のストーリーを先を追って読み続けるだろう。>(巻末解説:池澤夏樹) タイトル『八日目の蝉』に込められた寓意が胸に染みる。さすが角田さん。手練れだ。
読了日:05月09日 著者:角田 光代

世界は終わりそうにない (中公文庫 か 61-5)世界は終わりそうにない (中公文庫 か 61-5)感想
船戸与一さんとの対談が収められているのを見て購入。全部読んでみた。対談タイトルは「旅とボクシングとハードボイルド」(週刊ポスト2014.1.17号掲載)。映画化された『八日目の蝉』の成島出監督との対談も興味深い。小説が映画化されても観ることが少ないのだけれど(たいていがっかりするので)、この映画は観てみようと思い、ネットでレンタルして視聴。角田さんは、映画には映画の良さがあることをよくわかっている。この雑文集(?)には、角田さんが他人の著作に寄せた書評や解説文、吉本ばなな、三浦しをんらとの対談も収録。
読了日:05月12日 著者:角田 光代

新・雨月 上 ~戊辰戦役朧夜話~ (徳間文庫)新・雨月 上 ~戊辰戦役朧夜話~ (徳間文庫)感想
ずっと以前、単行本で読んだものを文庫(3分冊)で再読中。戊辰戦役での複雑怪奇な動き。主要登場人物(架空の人物と思われる)以外の実在の人物たちの名前が多くて覚えられず、ストーリー展開になかなか付いていけないが、面白い。大作『満州国演義』執筆中の2010年に単行本刊行。『満州国演義』の冒頭エピソードに繋がる、会津での西軍の狼藉がこれから展開されるのか? 船戸与一”落ち穂拾い”も、この作品で区切りをつけたい。『蝦夷地別件』と『満州国演義』は何度も読んでいるので、これでひと通りの読み直しが終わるはず。
読了日:05月17日 著者:船戸 与一

新・雨月 中 ~戊辰戦役朧夜話~ (徳間文庫)新・雨月 中 ~戊辰戦役朧夜話~ (徳間文庫)感想
虚実ないまぜの船戸与一らしい幕末時代小説。山県狂介(有朋)、榎本釜次郎(武揚)、西郷吉之助(隆盛)、板垣退助、土方歳三、大村益次郎、木戸孝允といった、よく知られた幕末~明治の人物が実名で登場。キーマンとなる長州の間諜・物部春介とその連れのモモ、長岡の元博徒・布袋の寅蔵らが、じつに生き生きしている。が、登場人物が多すぎて、あいかわらず混乱しながら読んできた。いよいよ下巻。船戸与一が独自の史観で会津戦争の終焉をどう描くのか、楽しみではある。
読了日:05月20日 著者:船戸 与一

新・雨月 下 ~戊辰戦役朧夜話~ (徳間文庫)新・雨月 下 ~戊辰戦役朧夜話~ (徳間文庫)感想
下巻にはいって戊辰戦争終焉に向けての西軍・東軍の戦いの構図がようやく見えてきた。第七章、架空の登場人物・物部春介の口を借りて、船戸さんの戊辰戦争感が語られるあたり、興味深い。終章でこの戦争の主要人物たち(実在)のその後が詳しく述べられているのも勉強になる。解説(前田哲男)で船戸さんの”叛史史観”を展開されているのも、船戸ファンにはたまらない。これまで半年以上をかけて続けてきた”船戸作品落ち穂拾い”も、これが最後。あとは、豊浦志朗名義のいくつかのルポルタージュを読んでみたい。
読了日:05月23日 著者:船戸 与一

なぜ、地形と地理がわかると幕末史がこんなに面白くなるのか (歴史新書)なぜ、地形と地理がわかると幕末史がこんなに面白くなるのか (歴史新書)感想
船戸与一『新・雨月 戊辰戦役朧夜話』を読み終えた後、戊辰戦争当時の複雑な動きを知りたくて図書館から借りてきた。まさに激動の時代。今でも名前がよく知られている幕末・明治の人物たちの行動が、少しはわかった気がする。気になったのは、明治以降の呼称のはずの「藩」「幕府」があたりまえのようの使われていること(他の書物でも一般的に使われてはいるのだが、コメントがあって然るべきかと)。このことは、別の本で調べて確かめてみたい。
読了日:05月26日 著者:


涙がでるほど心が震える すばらしいクラシック音楽涙がでるほど心が震える すばらしいクラシック音楽感想
ネットで知り、気になっていた本。図書館から借りて読んでみた。バッハからモーツァルト、ベートーベン、ブラームスら有名な10人のクラシック音楽の作曲家がとりあげられていて、なかなか面白かった。なかでも上にあげた4人の章が私の興味を引いた。たまにはこういう本もいい。
読了日:05月28日 著者:車田和寿

([か]1-1)古本道場 (ポプラ文庫 か 1-1)([か]1-1)古本道場 (ポプラ文庫 か 1-1)感想
単行本を持っていたはずなのだが、探しても見当たらなかった。読んだのか読まなかったのか、たぶん処分してしまったらしい。単行本、文庫版ともに惜しくも絶版。文庫の古本をネット購入。じつにさわやかな読後感。この師匠(岡崎さん)にして、この弟子(角田さん)。岡崎さんはもとより、角田さんの本への愛情が伝わってくる。国外の古本屋も探ってきた角田さんの、本への思いが胸を打つP.230の文章「本は、人という生きものに絶対的に近しい。……」が、いいなあ。文庫ならではの「文庫版あとがき」と石田千さんによる解説も、また、いい。
読了日:05月29日 著者:角田 光代,岡崎 武志

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2026年5月 1日 (金)

【読】2026年4月に読んだ本(読書メーター)

4月も、もっぱら船戸与一さんの「落ち穂ひろい」と称する再読に明け暮れた。

4月の読書メーター
読んだ本の数:8
読んだページ数:4362
ナイス数:89

蝶舞う館 (集英社文庫)蝶舞う館 (集英社文庫)感想
「落ち穂拾い」のこれも再読。初読は単行本で2009年。内容は憶えていないまま文庫で読んだ。じつによくできた「東南アジア五部作」の四作目(文庫化は最後)。舞台は2004年のベトナム。ベトナム戦争後も続く国内の被抑圧民族への弾圧。ベトコン――差別語などではない、と登場人物の口を借りて船戸さんは言う――が必ずしも”誤謬のない正義”なんかじゃなかったことが、作中で示される。「南米三部作」といい、船戸与一の現代史(叛史)発掘の作業と、それをエンタメ化する筆力に、あらためて敬服。次は、いよいよ『河畔に標なく』の再読。
読了日:04月04日 著者:船戸 与一

河畔に標なく (集英社文庫)河畔に標なく (集英社文庫)感想
「船戸与一落ち穂ひろい」の27作目。再読だが(初読は2009年)、初読時の記憶はおぼろで、新鮮だった。早大探検部の船戸さんの後輩・高野秀行さんが取材協力。その経緯は高野さんの本に詳しい。よくできた小説。「短いシーンをカットバックさせる手法で目まぐるしく場面転換させつつ、破滅への道行きへと盛り上げていく」(解説:前田哲男)ストーリー展開が秀逸。参考文献にあげられている吉田敏浩『森の回廊』が手元にあり、既読かどうか不明。読んでみたい。高野さんの『アヘン王国潜入記』『西南シルクロードは密林に消える』再読したい。
読了日:04月07日 著者:船戸 与一

海燕ホテル・ブルー (角川文庫 ふ 2-3)海燕ホテル・ブルー (角川文庫 ふ 2-3)感想
本作、再読かもしれないが憶えていない。船戸与一の異色作。珍しく日本国内だけが舞台で、”魔性の女”として描かれる韓国からの密航者(金梨姫)以外は日本人しか登場しない。船戸さんらしく登場人物たち誰もが個性的で魅力的だが、惜しむらくは、金梨姫の過去がもっと描かれていれば、物語の深みが違ったのでは? 1998年に上梓された本作の後『龍神町龍神十三番地』『新宿・夏の死』と国内を舞台にした作品が続く。これから読んでみよう(これらも再読かもしれない)。
読了日:04月09日 著者:船戸 与一

龍神町龍神十三番地 (徳間文庫 ふ 3-14)龍神町龍神十三番地 (徳間文庫 ふ 3-14)感想
昨年末から続いている「船戸与一”落ち穂拾い”」29作目。1998年上梓の『海燕ホテル・ブルー』に続く国内物。たぶん初読。読み応えあり。現実にはあり得ないほどの矛盾と怨念が渦巻く五島列島の架空の孤島が舞台。『海燕ホテル…』が刑務所帰りの孤独な男の個人史だったが、本作は狭い孤島の世界で蠢く人間たちの世界。隠れキリシタンの地という歴史背景も織り込まれていて、まるで「南米三部作」の日本版のような物語。ミステリー的な仕掛けも巧みで、最後の種明かしまで、息つく暇もなく読ませる、船戸さんの20世紀末の傑作。
読了日:04月12日 著者:船戸 与一

新宿・夏の死 (小学館文庫 ふ 4-7)新宿・夏の死 (小学館文庫 ふ 4-7)感想
1998年8月から2001年2月にかけて雑誌に発表された中編8作。2000年5月『虹の谷の五月』で直木賞受賞後の第一作らしい。読み応えあり。作家仲間の大沢在昌による文庫解説が、いい。<真夏の新宿で、出口を失った者たちの姿が描かれている。それにしても、すべての登場人物にフルネームを与え、出身地から経歴、その方言にまでこだわる船戸与一の描写は、まさに精神の前に肉体が存在するという、彼のハードボイルド観が端的に表れている。>(大沢在昌解説)まさに、そのとおり。大沢氏が言うように船戸ワールドの転換期だったのかも。
読了日:04月14日 著者:船戸 与一

三都物語 (新潮文庫 ふ 25-8)三都物語 (新潮文庫 ふ 25-8)感想
再読のはずだが、内容を憶えておらず、新鮮だった。横浜、台中、光州の三都を舞台に、プロ野球がらみの五話が連作になっているという憎い構成。文庫解説の北上次郎いわく。「アジアの複雑な政治情勢を背景に置いて、野球ビジネスの最前線と底辺に蠢く男たちを活写」しており「船戸与一は物語作家として群を抜く力量の持ち主である」と。まったく同感。昨年から続いている船戸作品の”落ち穂ひろい”も、これが31作目。次は2004年の『金門島流離譚』を読もう(これは再読。新潮文庫の解説は、なんと高野秀行さん)。
読了日:04月17日 著者:船戸 与一

ぐうたら原始行ぐうたら原始行感想
幻の単行本(1974年・山と渓谷社)を驚くほど高価な古本で入手したすぐ後、クラウドファンディングで出来上がった文庫。版元は吉祥寺のちいさな喫茶店・ヒロミブックス。この文庫のまえがき執筆が小松由佳さんというのもうれしい。一橋大学探検部在籍中の22~24歳の若者だった頃の、関野さんの初々しさが感じられる。この頃から「好きなことだけをする」という「ぐうたら」思想が芽生えていたことを知った。ペルー・アマゾンのマチゲンガが住む地域の地名や人名が煩雑で、なかなか頭に入ってこなかったが、文庫あとがきの言葉が沁みる。
読了日:04月25日 著者:関野吉晴

金門島流離譚 (新潮文庫)金門島流離譚 (新潮文庫)感想
ずっと以前に読んでいたが、ほとんど内容を憶えていない。この文庫本は手放さずに持っていた(解説が高野秀行さんだったからか)。再読。2004年初刊。この頃の船戸さんは、東南アジアに関心が向いていたのか(2003年『夢は荒れ地を』から2006年『河畔に標なく』に至る「東南アジア四部作」)。そして、大作で遺作となった『満州国演義』(2007年~2015年、全9巻完結)。昨年から続いていた”船戸作品落穂ひろい”も、そろそろ終盤にさしかかてきた。
読了日:04月27日 著者:船戸 与一

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2026年4月 1日 (水)

【読】2026年3月に読んだ本(読書メーター)

3月は、所属団体(小平図書館友の会)のチャリティ古本市があったため、あまり本を読めなかった。

船戸与一作品の「落ち穂ひろい」が続いているが、ちがうジャンルの本(図書館本)も2冊ほど。

3月の読書メーター
読んだ本の数:7
読んだページ数:3100
ナイス数:81

夢は荒れ地を (文春文庫 ふ 23-2)夢は荒れ地を (文春文庫 ふ 23-2)感想
再読。初読は単行本で16年も前(内容を憶えていない)。ストーリー展開が巧みでよくできた長編。ラストまで息つく暇もない展開(読むのに時間がかかったが)。なによりも、重要な主人公の越路修介(ラナ)の魅力が際立つ。修介を追ってカンボジアに来た現職自衛官の楢本辰次の揺れ動く心理もよく描かれているし、クメール人のチア・サミン、カンボジアで地道に活動している丹波明和の姿も生き生きしている。悲惨な児童売買、官民癒着という言葉がきれいすぎるほどのカンボジアの現実の闇だが、ラストにかすかな希望が。これぞ船戸ワールドの傑作。
読了日:03月04日 著者:船戸 与一

はくしむるちはくしむるち感想
新聞書評欄(2626.2.21東京新聞「著者は語る」)で知り、図書館本を読んでみた。著者は2003年沖縄生まれの新進気鋭の作家。のっけから若者言葉、若者のあいだで流行のサブカルチャー用語がいっぱいで、私には読むのがしんどかったが、なんとか読了。現代沖縄の若者たちの生態(いじめや女子生徒への暴行など)と、過去の沖縄戦の生々しい描写がないまぜになっている複雑な構成。先達の大城立裕や目取真俊らの沖縄文学の系譜を引き継ぐ問題作だとは思う。タイトル「はくしむるち」が読後も謎だが「白紙」「もどき(むるち)」か。
読了日:03月08日 著者:豊永 浩平

老後がめんどくさい老後がめんどくさい感想
勢古さんの新刊。例によって軽い本(人生論的な)。あいかわらず”八つ当たり”のように、あたりかまわず”バカじゃないか”と言いきる論調には、ちょっと辟易。そうはいっても勢古さん流の「この人を見よ」という人物紹介がいい。そのひとり、医師で作家の久坂部羊の著作は読んでみようかという気になった。勢古さん、数年前に脳梗塞になって救急車で運ばれたという(発症から10時間後だったが、幸い後遺症なし)。人生まさに「運・不運」(勢古さんは運が9割という)。老後(人生)を楽しめ、などクソクラエという考え方には、おおいに同感。
読了日:03月09日 著者:勢古 浩爾

虹の谷の五月 上 (集英社文庫)虹の谷の五月 上 (集英社文庫)感想
再読のはずだが、内容を何も覚えていない。遅すぎる直木賞受賞作、これ以前にもっと優れた作品(『砂のクロニクル』『蝦夷地別件』など)があったのに、と、これまで思っていたが、今回、読み直してみてなかなか面白い作品と感じた。船戸作品には珍しく13歳の少年が主人公というのも新鮮。フィリピン・セブ島の片田舎の集落の人間関係が生々しく描かれている。鼻もちならない嫌な女「クイーン」が登場するが、彼女もそれなりの過去を背負っていて存在感がある。下巻に続く物語の展開が楽しみ。主人公の少年「トシオ・マナハン」の成長ぶりも。
読了日:03月15日 著者:船戸 与一

虹の谷の五月 下 (集英社文庫)虹の谷の五月 下 (集英社文庫)感想
再読のはずだが、これも内容を憶えておらず、新鮮な内容だった。古本が手に入らず図書館本。さすが、直木賞受賞作だけあって、よくできた小説。過酷な体験を通して精神的に強くなっていく主人公の少年「トシオ」、彼が尊敬していた青年の変化、その妹メグとの淡い恋。なによりも「虹の谷」の魅力的なゲリラ、ホセ・マンガハス。少年の祖父と近所のリベルタ婆さん。彼らをとりまく悪党たち。これら登場人物たちが生き生きと描かれている。唯一の日本人ドクターも魅力的。悲劇の結末になだれこむストーリー展開も巧みだ。船戸作品中期の傑作だと思う。
読了日:03月18日 著者:船戸 与一

降臨の群れ 上 (集英社文庫)降臨の群れ 上 (集英社文庫)感想
図書館本。2010年に単行本で読んでいるはずだが内容の記憶はおぼろで、新鮮だった。読み始めは登場人物が多すぎて、巻頭の「主要登場人物」に助けられた。インドネシア全体とアンボン島の地図にも。単行本は2004年6月の刊行で、今から20年前だが、当時のインドネシアの、いわば内戦の状況がわかって勉強になる。船戸さんの世界観が随所に顔を出す。<グローバリズムってえのは何だかんだと言っても結局アメリカの世界制覇だ。金銭を持ってるやつが好き放題をするってことだ。その結果産み出されるのは大量の難民だよ。>(P.187)
読了日:03月28日 著者:船戸 与一

降臨の群れ 下 (集英社文庫)降臨の群れ 下 (集英社文庫)感想
下巻はいっきに読了。基本稿が『小説すばる』誌2002年9月号~2004年1月号に連載されたという(文庫の後記)。物語に登場するバリ島のディスコ爆破テロは2002年10月12日に発生しているので、連載開始直後。連載中に、現実の事件を作品に取り込んでいることを知った。さすがだ。インドネシアの複雑な宗教対立・内戦を背景に、船戸作品らしく現地の状況に翻弄される日本人が主役のひとり。文庫発売当時、「東南アジア三部作」と呼ばれていたが(文庫解説)、その後、『蝶舞う館』『河畔に標なく』と続き、五部作になったのだ。
読了日:03月31日 著者:船戸 与一

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2026年3月 1日 (日)

【読】2026年2月に読んだ本(読書メーター)

2月も船戸与一さんの”落穂拾い”と称する読書が続いている。

初読・再読とりまぜて、ほぼ出版順に、22作品目(28冊目)まで読んだところ。
今は、『夢は荒れ地を』文春文庫を読んでいる。

2月の読書メーター
読んだ本の数:8
読んだページ数:4250
ナイス数:104

午後の行商人 (講談社文庫 ふ 30-14)午後の行商人 (講談社文庫 ふ 30-14)感想
再読かもしれないが内容を憶えておらず、新鮮だった。船戸作品の落穂拾い・初読・再読の、これが22冊目。タイトルから予想できない復讐譚。メキシコ南東部チアパス州を中心に繰り広げられる活劇。物語の底流にはサパティスタ民族解放軍の反政府活動があり、これも船戸さんらしい”叛史”史観が色濃い。語り部の「ぼく」と、行商人「タランチュラ」、その縁人「マリア」、途中から登場するサパティスタ民族解放軍の「オテック」、彼らの協力者や敵役、それぞれが魅力的。巻頭のメキシコ東南部地図がありがたい。まだまだ船戸作品を追う読書は続く。
読了日:02月01日 著者:船戸 与一

蟹喰い猿フーガ (徳間文庫 ふ 3-11)蟹喰い猿フーガ (徳間文庫 ふ 3-11)感想
ずいぶん前に一度読んでいるかもしれないが、憶えていない。軽快洒脱な「コンゲーム小説」(詐欺師の話)。語り部(わたし)を含む主要人物たちがどれも魅力的。最後に3人、4人と欠けてしまうのが淋しいが…。「世の中に重要なことなんかほとんどない。…しかし、これは重要なことだ。…何が起ころうとやらなきゃならない」と決意するエル・ドゥロがかっこいい。黒人少年メッキーも。船戸さんは、当時の湾岸戦争やニューヨークのホームレスの状態なども巧みに織り込んでいて、さすが。プロレスにも詳しそうだ.
銃撃シーンが少ないのに救われる。
読了日:02月05日 著者:船戸 与一

小さな引揚者: 写真集小さな引揚者: 写真集感想
親しくしている女性写真家(小松由佳さん)に教えていただき、この著者を知った(近々、この著者をテーマにトークイベントがある)。1904年生まれの著者は、敗戦・自身の引揚げ後の1946年7月、あらためて旧満州に渡って引揚者たちの苦難を写真に収めた。二眼レフカメラを隠し持って。子どもたちにスポットをあてたモノクロ写真が多数。どれも胸を打つ。この時期に朝鮮半島の北から苦労して脱出した松延(五木)寛之少年のことも連想した。筆舌に尽くしがたい苦難のようすが迫ってくる写真集。著者は登山家でもあった(1993年没)。
読了日:02月07日 著者:飯山 達雄

かくも短き眠りかくも短き眠り感想
中古本が手に入らず図書館本で読んだ。憶えていないが、たぶん初読。毎日新聞夕刊連載(1994年10月~95年12月)だったことを知った。残念ながら、船戸作品のいつもの”勢い”が感じられなかった。主人公「わたし」と「少佐」呼ばれるかつての傭兵隊長・ビッグフォードとの過去の関りがはっきりと描かれていないこと、「わたし」の元恋人クラウディアへの拘りにも説得力が薄い。そのあたりがこの小説の瑕疵とも思える。舞台のルーマニア(チャウシェスク政権崩壊後)の政情が複雑だが、現代史の闇に眼を向ける船戸さんらしい作品ではある。
読了日:02月11日 著者:船戸 与一

流沙の塔 上巻 (新潮文庫 ふ 25-6)流沙の塔 上巻 (新潮文庫 ふ 25-6)感想
再読のはず。初読は20年ほど前だろうか(記録がなく記憶は曖昧)。これはよくできた長編。初読時にも感心した憶えがある。横浜、中国大陸(成都、北京、梅県)、新疆ウイグル自治区(トルファン、ウルムチ)と、舞台のスケールが大きく、登場人物たちの絡み合いも複雑だが、読ませる。どうなる、どうなる、と期待を持たせながら物語が展開し、下巻へ。1998年刊行。91年の『砂のクロニクル』、95年の『蝦夷地別件』に並ぶ船戸作品の傑作だと思う。
読了日:02月14日 著者:船戸 与一

流沙の塔 下巻 (新潮文庫 ふ 25-7)流沙の塔 下巻 (新潮文庫 ふ 25-7)感想
昨年末からずっと続いている船戸作品”落穂ひろい”の21作目(26冊目)。図書館本。20年ほど前に読んでいたはずなのに、内容はほとんど憶えておらず、新鮮だった。予測不能な結末に仰天。最後に勝ったのは中華人民共和国・中国共産党という巨大な権力機構だった。結末まで一気に駆け抜けるストーリーテリングは、さすが。執筆にあたっての綿密な調査もうかがえる。1990年代船戸作品の傑作。脂の乗っていた時期なのだろう。「芥子に頼るは流沙に塔を築くがごとし」「うえに飛鳥なく、したに走獣なし」…この作品を象徴している。
読了日:02月17日 著者:船戸 与一
緋色の時代 (上) (小学館文庫 ふ 4-2)緋色の時代 (上) (小学館文庫 ふ 4-2)感想
今回は時間がかかったが、ようやく読了(文庫で610ページもあった)。たぶん初読。2000年5月出版の『虹の谷の五月』で(遅すぎた)直木賞受賞後、2001年12月の出版。登場人物が多すぎて(ロシア系の名前ばかり)、巻頭の「主要登場人物」リストを見ながら、その関係を追うのがたいへんだ。ひとことで言えば「殺し合い」が日常の物語。ただ、主要な登場人物はアフガン帰還兵(アフガンツィ)とアフガーニ(アフガン戦争に従軍したアラブ志願兵)。ソ連崩壊後のロシアのマフィアたちの驚くべき世界。よくぞ調べたものだと感心する。
読了日:02月23日 著者:船戸 与一

緋色の時代 (下) (小学館文庫 ふ 4-3)緋色の時代 (下) (小学館文庫 ふ 4-3)感想
ようやく読了。登場人物たちの関係が複雑で(ロシア風の名前がなかなか覚えられないせいもあって)苦労したが、最後は圧巻。船戸作品には珍しく、若い恋人二人が生き残り、それが酷たらしい殺戮に満ちたこの物語の救いになっている。「緋色の時代」というタイトルの謎も最後に解けて、納得。船戸作品を初期のものから読み直し続けて、これが22作目。こうなったら再読・初読を問わず、ひと通り読破したい気分だ。解説を読みたいために文庫本を探しているが、なかなか入手できないのが困る(図書館本に助けられている)。
読了日:02月26日 著者:船戸 与一

読書メーター

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2026年2月21日 (土)

【読】船戸与一さんを読み直す

このメインブログ、ずっと投稿が滞っている。

毎月はじめに「読書メーター」
https://bookmeter.com/
という読書記録サイトに、一か月分のまとめ(読書記録)を掲載するようにしてはいるが……。

その一方で「note」
https://note.com/iriyamahiro
という使いやすいブログサイトを、2024年12月13日を皮切りに、使うようになった。
おもに音楽と本のことを書いている。

さて、船戸与一さんの本のこと。
(どうしても”さん”付けで呼びたい人だ)

1979年3月のデビュー作『非合法員』に始まり、1980年代の未読作品を読んでみようと思い立った。
それがエスカレートして、全作品を読み直すという大それた試みを継続中。
全作品といっても、何度も読み返した『蝦夷地別件』と、全9巻の大作(絶筆となった)『満州国演義』は除くことにした。
(この2作は、私のなかでは”別格”扱いなのだ)

初読作品もあれば、再読も多いが、「船戸作品の落穂拾い」と勝手に命名している。
再読作品も、はじめて読んだのが20年も前なので、ほとんど内容を憶えておらず、読むたびに新鮮だ。

ちなみに、”ブ”(ブックオフ)では、船戸さんの旧作はほとんど見つからず、”密林”(Amazon)のお世話になった。
さらに、近隣図書館に文庫版があれば、借りてきて読んでいる。
文庫版にこだわるのは、巻末の解説を読みたいからだ。

※船戸与一さんの作品リストは、この投稿の末尾にあげておく。


「note」に、その読書記録を書き続けている。
いまのところ4回投稿している。

船戸与一作品を読み直す(1)|やまおじさん
2026.1.4

https://note.com/iriyamahiro/n/nec257960082d

__0

船戸与一作品を読み直す(2)|やまおじさん
2026.1.23

https://note.com/iriyamahiro/n/nddc3a7a278ea

__20260221185701

船戸与一作品を読み直す(3)|やまおじさん
2026.2.5
https://note.com/iriyamahiro/n/n216e33e15297

__2

船戸与一作品を読み直す(4)|やまおじさん
2026.2.16
https://note.com/iriyamahiro/n/neeccbfe35b9a

__3


以下、メモとして更新している「船戸作品リスト」

船戸与一作品 2026.2.21現在

〇 手元にある
◎ 購入(2025~2026年)
☆ 図書館本

● 読んだ ■ 読んだ(2025年~)
▲ 読んだはず
△ 読んだかどうかわからない
★ とくにいいと思った作品

南米三部作
『伝説なき地』(でんせつなきち)は、船戸与一による小説。 1988年に講談社のレーベルである"推理特別書下ろし"の収録作として上下2巻で刊行された。先に発表された『山猫の夏』『神話の果て』と併せて”南米3部作”と呼ばれることがあるが、いずれも独立した作品であり登場人物や舞台に関連性はない。

小説
■〇『非合法員』1979/03 講談社、1984/02 徳間文庫、1996/06 講談社文庫、2015/10 小学館文庫 ■2025/4/18読了
■◎『祖国よ友よ』1980/10 フタバノベルス 双葉社、1986/05 角川文庫、1992/10 徳間文庫 ■2025/12/24読了
  【収録作】祖国よ友よ / 爆弾の街 / どしゃぶり行路 / 北溟の宿
■◎『群狼の島』1981/06 フタバノベルス 双葉社、1985/12 角川文庫、1992/04 徳間文庫 ■2025/12/27読了
■◎★『夜のオデッセイア』1981/07 トクマノベルス 徳間書店、1985/04 徳間文庫、1997/12 ハードカバー 徳間書店 ■2025/12/30読了(徳間文庫)
■◎『蛮賊ども』1982/04 カドカワノベルズ 角川書店、1986/11 角川文庫、1993/04 徳間文庫 ■2026/1/1読了(徳間文庫)
■〇★『血と夢』1982/10フタバノベルズ 双葉社、1988/04 徳間文庫、1997/01 講談社文庫、2001/12 (増補新版) 徳間文庫 ■2026/1/5読了(徳間文庫増補新版)
■◎★『銃撃の宴』 1984/06 徳間文庫(徳間文庫封切り版)
  【収録作】白い蒸気の夜 / 居留区の秋 / 帰郷者 / 灰色の猟犬 / 老いぼれ殺し / まだらの疾風 / 鬼百合の宿 ■2026/1/7読了
■◎★★『山猫の夏』 1984/08 講談社、1987/08 (上下巻) 講談社文庫、1995/11 (新装版) 講談社文庫、2014/05 小学館文庫 ■2025/11/24読了
■◎★★『神話の果て』1985/01 双葉社、1988/05 (上下巻) 講談社文庫、1995/11 (新装版) 講談社文庫 ■2025/11/27読了
■◎『カルナヴァル戦記』1986/04 講談社、1989/06 講談社文庫、2016/11 (新装版) 講談社文庫 ■2025/12/17読了
  【収録作】カルナヴァル戦記 / ガリンペイロ / ジャコピーナ街道 / おタキ / バンデイラ / ふたつの町にて / アマゾン仙次 ※2025/12/17読了
■〇★★『猛き箱舟』1987/04 (上下巻) 集英社、1990/07~08 (1~4) 集英社文庫、1997/05 (上下巻) 集英社文庫 ■2026/1/13集英社文庫上巻読了 1/15下巻読了
■〇★★『伝説なき地』1988/06 (上下巻) 講談社、1991/06 (上下巻) 講談社文庫、1995/10 (上下巻) 徳間文庫、1995/11 (新装版) 講談社文庫、2003/06 (上下巻) 双葉文庫 ■2025/11/30読了(双葉文庫上巻) ■2025/12/2読了(双葉文庫下巻)
■◎★『緑の底の底』1989/10 中央公論社 、1992/11 (表題作のみ文庫化) 中公文庫、2000/07 徳間文庫 ■2025/12/20読了
  【収録作】緑の底の底 / メビウスの時の刻 ※2025/11/25購入 BOOK OFF \495 徳間文庫
■◎★★『炎 流れる彼方』1990/07 集英社、1993/07 (上下巻) 集英社文庫、1997/11 (新装版) 集英社文庫 ■2026/1/18上巻読了 ■2026/1/21下巻読了
■◎★★★『砂のクロニクル』1991/11 毎日新聞社、1994/12 (上下巻) 新潮文庫、2014/05 (上下巻) 小学館文庫 ■2026/1/25上巻読了 ■2026/1/29下巻読了
■◎★『黄色い蜃気楼』1992/09 双葉社、1995/09 双葉文庫 ■2025/12/22読了
■◎『メビウスの時の刻』1993/09 (単行本『緑の底の底』の収録作の文庫化) 中公文庫
●〇★★★★『蝦夷地別件』1995/05 (上下巻) 新潮社、1998/06 (上中下巻) 新潮文庫、2012/01 (上中下巻) 小学館文庫
■☆★『蟹喰い猿フーガ』1996/01 徳間書店、1999/04 徳間文庫 ■2026/2/5読了
■☆『かくも短き眠り』1996/06 毎日新聞社、2000/04 角川文庫、2004/03 集英社文庫 ■2026/2/11読了
■◎『蝕みの果実』1996/10 講談社、1999/10 講談社文庫 ■2026/1/9読了
  【収録作】セレクション・ブルウ(86.7) / からっ風の街(87.11) / 黄金の眼(88.10) / コリア・タウン(93.7) / 梟の流れ(93.12) / 斑らの蝶(95.7) / ミセス・ジョーンズの死(96.4)
■◎★『午後の行商人』1997/10 講談社、2000/09 講談社文庫 ■2026/2/1読了
■☆★★『流沙の塔』1998/04 (上下巻) 朝日新聞社、2000/10 (上下巻) 朝日文庫、2002/11 (上下巻) 新潮文庫、2006/04 (上下巻) 徳間文庫 ■2026/2/13 新潮文庫上巻読了 ■2026/2/17 新潮文庫下巻読了
●☆『海燕ホテル・ブルー』1998/08 角川書店、2001/09 角川文庫、2005/02 徳間文庫
●◎『龍神町龍神十三番地』1999/12 徳間書店 、2002/11 徳間文庫 ※Amazon購入(徳間文庫)
●☆『虹の谷の五月』2000/05 集英社、 2003/05 (上下巻) 集英社文庫
●〇『新宿・夏の死』2001/05 文藝春秋、2004/05 文春文庫、2012/08 小学館文庫
  【収録作】夏の黄昏 / 夏の渦 / 夏の流れ / 夏の残光 / 夏の雷鳴 / 夏の夜雨 / 夏の曙 / 夏の星屑 
 ※2025/11/25購入 BOOK OFF \605 小学館文庫
●◎『緋色の時代』2001/12 (上下巻) 小学館、2004/09 (上下巻) 小学館文庫、2008/02 (上下巻) 徳間文庫 ※Amazon購入2026/2/2,2/9(小学館文庫2004)
●☆『夢は荒れ地を』2003/06 文藝春秋、2006/06 文春文庫、2012/10 集英社文庫
●☆『三都物語』2003/09 新潮社、2006/07 新潮文庫
●〇『金門島流離譚(Asia noir)』 2004/03 毎日新聞社、2007/01 新潮文庫
  【収録作】金門島流離譚 / 瑞芳霧雨情話
●☆『降臨の群れ』2004/06 集英社、2007/08 (上下巻) 集英社文庫
●〇『蝶舞う館』2005/10 講談社 、2008/10 講談社文庫、2012/12 集英社文庫 ※Amazon購入(集英社文庫2012)
●〇『河畔に標なく』2006/03 集英社、2009/07 集英社文庫
●〇★★★★『満州国演義』2007/04~2015/02 新潮社、2015~2016 新潮文庫 
 「風の払暁」2007/04 新潮社、2015/07 新潮文庫
 「事変の夜」2007/04 新潮社、2015/08 新潮文庫
 「群狼の舞」2007/12 新潮社、2015/09 新潮文庫
 「炎の回廊」2008/06 新潮社、2015/12 新潮文庫
 「灰塵の暦」2009/01 新潮社、2016/01 新潮文庫
 「大地の牙」2011/04 新潮社、2016/02 新潮文庫
 「雷の波涛」2012/06 新潮社、2016/05 新潮文庫
 「南冥の雫」2013/12 新潮社、2016/06 新潮文庫
 「残夢の骸」2015/02 新潮社、2016/07 新潮文庫 【2015/4/22死去】
●◎『藪枯らし純次』2008/01 徳間書店、2011/03 徳間文庫 ※Amazon購入(徳間文庫)
●☆『夜来香(イエライシャン)海峡』2009/06 講談社、2012/04 講談文庫
●◎『新・雨月 戊辰戦役朧夜話』2010/02 (上下巻) 徳間書店、2013/01 (上中下巻) 徳間文庫 ※Amazon・e-hon購入(徳間文庫上中下巻)

その他
●〇『諸士乱想 トーク・セッション18』1994/05 ベストセラーズ、1998/03 徳間文庫
『棋翁戦てんまつ記』1995/03 (共著) 集英社、2018/03 集英社文庫
△〇『国家と犯罪』1997/04 小学館、2000/03 小学館文庫
●〇『満州国演義』に見る中国大陸』あるむ(愛知大学東亜同文書院ブックレット) 2008/

船戸与一名義以外の著作
豊浦志朗『硬派と宿命:はぐれ狼たちの伝説』世代群評社、1975年
〇豊浦志朗『叛アメリカ史』ブロンズ社、1977年;筑摩書房、1989年 ISBN 4-480-02310-0
〇原田建司(佐藤政信、小島臣と共著)『アラスカ・エスキモー』朝日新聞社、1968年

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2026年2月 1日 (日)

【読】2026年1月に読んだ本(読書メーター)

昨年12月から、船戸与一の「落ち穂ひろい」と称して、古い作品から読み続けている。

そろそろ既読の作品の再読にかかっているが、過去に読んだはずの作品も、その内容をほとんど憶えていなかったので、新鮮。

1991年の『砂のクロニクル』を読み終えて、今は、1997年の『午後の行商人』を読んでいる。

1996年『蟹喰い猿フーガ』、『かくも短き眠り』、1998年『流沙の塔』以降は、図書館に文庫本があるようなので、今後、借りてきて読んでみたい。

1月の読書メーター
読んだ本の数:12
読んだページ数:5131
ナイス数:154

蛮賊ども (角川文庫 ふ 2-3)蛮賊ども (角川文庫 ふ 2-3)感想
昨年から続いている船戸作品”落穂拾い”(未読だった初期作品を読む)の12冊目。1980年のアフリカ・ジンバブエ(旧ローデシア)が舞台。当時のアフリカの政治状況が複雑で、それが地の文で説明されているのが、ややうっとうしい。登場人物が多岐にわたっていて複雑だが、ダイナミックな展開は、さすが船戸さん。文庫解説(井家上隆幸)で紹介されている大岡昇平編『ミステリーの仕掛け』に、豊浦志朗名義で書かれた「ハードボイルド試論」が掲載されていると知り、読んでみたくなり古本を注文。船戸与一の世界にどっぷりと浸かっている。
読了日:01月01日 著者:船戸 与一

シロくんとパレスチナの猫シロくんとパレスチナの猫感想
パレスチナ難民キャンプに何度も足を運んできた写真家・高橋美香さんの写真絵本。ガザについての報道の陰で忘れられがちなヨルダン川西岸地区の難民キャンプへのイスラエルの侵攻。そればかりか、パレスチナ人が住む土地を奪い、”入植地”を拡大し続けているイスラエルの非道。この本では、美香さんの愛猫”シロ”くんの目を通して、美香さんがパレスチナで体験した近年のパレスチナの人々と猫たちの姿が描かれている。けっして”声高”ではないが、イスラエルの非道を訴える好著。
読了日:01月02日 著者:高橋 美香

血と夢 増補新版 (徳間文庫 ふ 3-13)血と夢 増補新版 (徳間文庫 ふ 3-13)感想
無薬莢弾丸の自動小銃は、いまや現実に存在するらしい。元自衛官で個人的事情から金を必要としている主人公(かなりナイーブな男)が国際的な謀略に巻き込まれていくハードボイルド小説。2001年徳間文庫版のこの「増補新版」には、著者によるアフガニスタンの当時の状況解説(ムジャヒディン取材記)が付いているので、大いに参考になる。また、巻末解説を、船戸さんから依頼を受けた写真家・長倉洋海さんが書いていて(長倉さんが追い続けていたマスード将軍のこと)、それもうれしい。この小説でも船戸さんの冒険小説の定番=主人公は死ぬ。
読了日:01月05日 著者:船戸 与一

銃撃の宴 (徳間文庫 140-2)銃撃の宴 (徳間文庫 140-2)感想
船戸与一さんの初期作品を追い続け、これが14冊目。アメリカ合衆国(アラスカを含む)を舞台にした七つの短編。文庫書き下ろしらしい。どの作品も意表をつく結末が用意されていて面白い。なかでも「灰色の猟犬」の思いがけない結末には感心した。巻末の北上次郎氏による文庫解説では、船戸作品の魅力が的確に指摘されている(解説文など読まなくていいという意見もあるが、この人の解説は好きだ)。そろそろ初読作品がなくなってきたが、『蝕みの果実』(短編集、1996/10講談社)は既読かもしれない。読んでみよう。他の既読作品も。
読了日:01月07日 著者:船戸 与一

蝕みの果実 (講談社文庫 ふ 30-13)蝕みの果実 (講談社文庫 ふ 30-13)感想
1986年から96年にわたって雑誌連載された短編7編。第4短編集。著者自身によると「舞台がアメリカ合衆国」「主要登場人物が何らかのスポーツに関係している」という共通項を持つ。ずいぶん前に読んだかもしれないが、例によって憶えておらず、新鮮だった。船戸さんのストーリーテリングが冴えている。なかでも、野球選手を扱った「セレクション・ブルー」、陸上競技者たちの「ミセス・ジョーンズの死」が秀逸。他の5編も、いい。船戸作品の”落ち穂拾い”は、まだまだ続く。次は、1987年の傑作長編『猛き箱舟』(再読)にとりかかる。
読了日:01月09日 著者:船戸 与一

猛き箱舟 上 (集英社文庫)猛き箱舟 上 (集英社文庫)感想
文庫上下巻それぞれ600ページにもなる大作の上巻を読了。ずいぶん前に単行本で読んだ朧げな記憶があるが、内容はおとんど憶えておらず、新鮮だった。頼りなげな”チンピラ”ともいえる香坂正次が過酷な体験を通して大きくなっていくドラマともいえる。プロローグ、南アルプスで射殺される隻腕の男との繋がりが気になる。非情さの塊のような”グリズリー”(隠岐浩蔵)が不気味。文庫解説(佐々木譲氏)がこの上巻にも付いているのは珍しい。さすがに佐々木譲さんらしい的確な分析でおおいに参考になる。
読了日:01月13日 著者:船戸 与一

猛き箱舟 下 (集英社文庫)猛き箱舟 下 (集英社文庫)感想
初期の傑作長編。単行本で読んだ憶えもかすかにあるが、記憶の彼方。あらためて新鮮だった。多彩な登場人物たちの予測不能な運命に、夢中になって読み進んでいった。ただ、結末は作品のまとまりとしてどうなのか。若干の不満が残った。それでも私にとっては『蝦夷地別件』に並ぶ船戸作品のベストと言える。文庫下巻の解説は逢坂剛氏。ハードボイルド系の作家らしい的確な船戸評は、おおいに参考になる。逢坂氏があげている『叛アメリカ史』、手元にあって未読だと思う。他の船戸さんの小説をひと通り読み終えたら、開いてみたい。
読了日:01月15日 著者:船戸 与一

凪の人 山野井妙子凪の人 山野井妙子感想
山岳関係の本が好きで、この本を知り、すぐに図書館から借りて一気に読んだ。著者は自身も海外の山に登るほどで、山野井夫妻と中国の山にも行ったらしい。妙子さんからよほどの信頼を寄せられていなければ、これほど内容の濃い”評伝”は書けなかったろう。妙子さんの登山歴を含む人生は「表立った歴史だけを見ると、けっして凪いではいなかった」(本書エピローグ)が、その人柄はまさに「凪の人」。なんとも魅力的な人だ。泰史さんも凄いクライマーだが、それを支える”姉さん女房”の妙子さんも凄い。彼女も今年、古希を迎えると知り、驚いた。
読了日:01月17日 著者:柏 澄子

炎流れる彼方 上 (集英社文庫 ふ 7-5)炎流れる彼方 上 (集英社文庫 ふ 7-5)感想
舞台が広大なアメリカ合衆国のためなのか、カラット突き抜けるような明るさを感じる。すこし前に読んだ『夜のオデッセイア』を思い出す。盛りを過ぎたボクサー”ムーニー”とその家族、それに主人公の”ラッキー”の魅力的な4人が、この後、ポンコツ車で北米大陸を移動していく予感。ところで、船戸与一は格闘技にも造詣が深いという話を読んだ記憶がある。少林寺拳法の技や、ボクシングの試合の描写に迫力がある。謎をはらんだまま、下巻へ。1990年発表、デビュー後11年目の長編傑作。
読了日:01月18日 著者:船戸 与一

炎流れる彼方 下 (集英社文庫 ふ 7-6)炎流れる彼方 下 (集英社文庫 ふ 7-6)感想
この小説、ずいぶん前に読んだかもしれないが、憶えていない。下巻にはいって物語が大きく展開。結末にいたっては読者の予想だにしないことになる。船戸ワールドらしく登場人物たちの大半は死んでしまう。ひとり残った主人公の視点から物語が語られる。文庫を選んで船戸作品を読み続けているのは解説を読みたいためだ。この文庫の解説・野崎六助氏は知らない人だったが、日本推理作家協会所属の小説家・評論家らしい。この解説の船戸論も興味深い。なるほど、『夜のオデッセイア』の系列に連なる「ロード・アドヴェンチャー・ノヴェル」だった。
読了日:01月21日 著者:船戸 与一

砂のクロニクル〈上〉 (新潮文庫)砂のクロニクル〈上〉 (新潮文庫)感想
ずいぶん前に単行本で読んだはずだが、内容をまるで憶えていなかった。評判どおりの傑作。プロットが巧みで、物語作者としての船戸さんの力量が感じられる。1980年代、イラン・イラク戦争後の複雑な中東情勢を舞台に、クルド人ゲリラたちの独立闘争が描かれる。主要な登場人物たちの因縁にみちた絡み合いにわくわくしながら、この上巻を読み終えた。この当時、私にとっては遠い世界のことだったが(関心が薄かった)、現代につながる、抑圧され続ける民族の”叛史”を描き続けた作者は、私には魅力的だ。船戸作品を追う読書は、とうぶん続く。
読了日:01月25日 著者:船戸 与一

砂のクロニクル〈下〉 (新潮文庫)砂のクロニクル〈下〉 (新潮文庫)感想
20年も前、船戸作品を読み始めた頃、単行本で読んだはずの長編小説。単行本が上梓された1991年時点で、この小説が船戸さんの最高傑作だったと、今にして思う。この文庫の解説は辺見庸氏。「正史」に対して「外史」という言葉を使っているが、船戸さん一流のすぐれた「叛史」だ。舞台となる国・地域のスケールの大きさ、多彩な登場人物たちの魅力、結末に向かってなだれ込むような部物語の展開。どれをとっても船戸作品の金字塔といえよう。複雑な登場人物一覧がKindle版(サンプル)で見ることができる。文庫版には簡単な地図しかない。
読了日:01月29日 著者:船戸 与一

読書メーター
 

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2026年1月 1日 (木)

【読】2025年12月に読んだ本(読書メーター)

船戸与一さんの初期作品から、おもに未読の小説を読み続けている。

12月の読書メーター
読んだ本の数:12
読んだページ数:4595
ナイス数:152

日本推理作家協会賞受賞作全集 59 (双葉文庫 ふ 7-3)日本推理作家協会賞受賞作全集 59 (双葉文庫 ふ 7-3)感想
この下巻は、いっきに読み終えた。物語の構成がよく練られていて、さまざまな伏線が生きている。コロンビアとベネズエラ、それにチリの反体制運動(民族解放戦線)を背景に、ふたりの日本人の流れ者の動きが、この作品でも中心になっている。「涸れた油田地帯」での最後の戦闘場面は圧巻。1980年代に書かれた「南米三部作」は、評判どおりの傑作だったと、あらためて思う。三作のなかでは『山猫の夏』文庫版の北上次郎の解説が、いい。
読了日:12月02日 著者:船戸 与一

シリアの家族シリアの家族感想
縁あって5年ほど前から応援している写真家・小松由佳さんの、『人間の土地へ』(2020年)に続く3冊目の新刊。前作以降、小松さんの活動を見守ってきた。本書は第23回開高健ノンフィクション賞を受賞した力作。2011年からのシリア内戦も2024年12月8日のアサド政権崩壊(アサドのロシア亡命)によって歴史的な転機を迎えた。当事者(シリア人の夫を持つ)と写真家(取材者)としての両方の目から、激動のシリアと、故郷を追われたシリア難民(夫もその一人)の姿が、親しみやすい文章で描かれている好著。多くの人に読んでほしい。
読了日:12月04日 著者:小松 由佳

〈全条項分析〉日米地位協定の真実 (集英社新書)〈全条項分析〉日米地位協定の真実 (集英社新書)感想
何かと取沙汰される「日米地位協定」(正式名は長いが、わかりやすく言うと「日米間の相互協力及び安保条約第六条に基づく基地と米軍の地位に関する協定」)。日米安全保障条約の運用を定めるこの協定が、これほど詳細なものとは知らなかった。日米関係の実態を筆者は「占領延長型」「有事即応型」「国民無視型」と喝破する(あとがき)。日本に駐留する米軍は、いまややりたい放題。日本政府も惜しむことなく金を出し放題。防衛費に含まれない予算を米軍のために使っていることも知った(辺野古の軟弱地盤改良費用もその一つ)。なんとも情けない。
読了日:12月07日 著者:松竹 伸幸

酒を主食とする人々: エチオピアの科学的秘境を旅する酒を主食とする人々: エチオピアの科学的秘境を旅する感想
敬愛するノンフィクション作家・高野秀行さんの近刊。高野さんの新刊はすぐに買うことにしていて、この本もしばらく本棚にあった。期待を裏切らない面白さ。エチオピア南部の「幻の酒飲み民族」をテレビ番組の取材で訪れたときのレポート。世界の辺境を歩きまわり、現地の食べ物・飲み物を何でも試してきた高野さんもびっくりするほどの「酒を主食とする人々」には驚愕。エピローグに綴られているように、「飲酒が健康によくない」という考え方は、どうやら「先進国」の人々の偏見らしい。酒より体に悪い物を、私たちは日々、摂取しているのだろう。
読了日:12月12日 著者:高野秀行

世界のシワに夢を見ろ!〔小学館文庫〕 (小学館文庫 た 9-1)世界のシワに夢を見ろ!〔小学館文庫〕 (小学館文庫 た 9-1)感想
高野秀行さんの未読本落穂ひろい。本棚に眠っていた本だが、たぶん初読。親本(単行本)は2005年9月刊行。コミック誌連載。それまでの高野さんの辺境(世界のシワと呼ぶ)歩きからさまざまなエピソードを披露。それもまた高野さんの「落穂ひろい」と言える。<単行本未収録のエピソードを七篇追加、あまりのくだらなさに著者自ら「こんなバカな本は最後にしたい」と嘆く、爆笑探検エッセイ完全決定版ついに文庫で刊行‼>と、カバー裏にある。この本でも、いつもの”高野ブシ”炸裂。
読了日:12月12日 著者:高野 秀行

横田空域 日米合同委員会でつくられた空の壁 (角川新書)横田空域 日米合同委員会でつくられた空の壁 (角川新書)感想
緻密な論考なので(裏付けデータが細かい)読むのに苦労したが、乱暴にまとめれば「米軍は日本でやりたい放題」「治外法権がいまだに続いている」ということ。翁長元沖縄知事が言ったように「日本国憲法の上に日米地位協定があり、国会の上に日米合同委員会がある」。考えたくないことだが、首都圏で米軍機かオスプレイの大きな事故でも起きない限り、「横田空域」の真下で生活している私たちは、危機意識を持たないのかもしれない。そういえば、私の住んでいる地域の上空にも、大型輸送機が騒音を残して飛び回っている(自衛隊機かもしれないが)。
読了日:12月15日 著者:吉田 敏浩

新装版 カルナヴァル戦記 (講談社文庫 ふ 30-17)新装版 カルナヴァル戦記 (講談社文庫 ふ 30-17)感想
船戸与一さんの古い小説の落穂拾い。この本は、たぶん初読。少し前に読んだ『山猫の夏』(講談社文庫/1995年刊)の解説で北上次郎(目黒孝二)さんが、船戸さんの短編集もいいと書いていたが、ブラジルを舞台とするこの短編集も傑作。「冒険小説」の枠を超え、過去の歴史や現代の民族運動・紛争を<叛史>の視点から描き切る船戸さんの力量は、さすが。人によって評価が分かれるのが船戸作品なのだが、私は好きだ。他の短編集『祖国よ友よ』『銃撃の宴』も入手困難だが(ネットでなら手に入る)、いずれ読んでみたい。
読了日:12月17日 著者:船戸 与一

緑の底の底 (徳間文庫 ふ 3-12)緑の底の底 (徳間文庫 ふ 3-12)感想
船戸さんの落穂拾い。過去にいちど(単行本で)読んでいるのかもしれないが、憶えていない。表題作「緑の底の底」は、ラスト、あっと驚くどんでん返しに感心した。やられたぁ、という感じ。秀作だと思う。併録されているもう一篇の「メビウスの時の刻」は、構成がややこしく、読むのに疲れたが、これもまた巧みなトリックが仕込まれていて、船戸流ミステリーなのだろう。
読了日:12月20日 著者:船戸 与一
黄色い蜃気楼 (双葉文庫 ふ 7-1)黄色い蜃気楼 (双葉文庫 ふ 7-1)感想
これも船戸作品の落穂拾い。ずいぶん前に一度読んでいるかもしれないが、忘却の彼方。構成に工夫が凝らされていて、ぐいぐいと引き込まれ、夢中になって読んでしまった。文庫解説の香山二三郎氏の指摘によれば、《「硬派」的ヒーローの流離譚を主流にした物語系》に属する作品だという。もう一方は、『山猫の夏』から『砂のクロニクル』『蝦夷地別件』へと続く《革命譚主流の物語系》――この指摘は興味深い。それにしても、ひさしぶりに味わっている船戸ワールドが、これほど味わい深いものだったとは。「落穂拾い」は、とうぶん続きそうだ。
読了日:12月22日 著者:船戸 与一

祖国よ友よ (徳間文庫 ふ 3-6)祖国よ友よ (徳間文庫 ふ 3-6)感想
船戸与一さんのデビュー後2冊目の短編集。この時期の船戸作品は読んでいなかったので、初読。北上次郎(目黒孝二)氏が『山猫の夏』(1995年刊講談社文庫)の解説で「船戸与一の短編が好きだ」として『銃撃の宴』(未読)『カルナヴァル戦記』(先日読了)とともにあげていた短編集だ。なるほど、この時期から「船戸ワールド」――それは「《世界》そのものを、あるいは個々の地域の状況が連動して成る世界の《現代史》そのものを描」く(本書の解説:岡村隆の指摘)――の構築が始まっていたのだな。収録されている4篇は、どれも面白い。
読了日:12月24日 著者:船戸 与一

群狼の島 (徳間文庫 ふ 3-5)群狼の島 (徳間文庫 ふ 3-5)感想
1979年『非合法員』でデビューした船戸さんの3冊目(1981年刊)。これも初読。舞台はマダガスカル。船戸さんらしく「西欧近代史観とはまったく異質のところで想像力を行使し」て(井家上隆幸氏の文庫解説)力強く語られる冒険小説。初期の頃から、このようにみごとで隙のないストーリテリングの骨太の作品を書き続けていたことを再認識した。主人公はじめ登場人物たちが生き生きしている。次は、評価の高い『夜のオデッセイア』(いちど読んでいるかもしれないが憶えていない)を読んでみよう。船戸作品の落穂拾いは、まだまだ続きそうだ。
読了日:12月27日 著者:船戸 与一

夜のオデッセイア (徳間文庫 140-3)夜のオデッセイア (徳間文庫 140-3)感想
船戸与一作品(初期)の”落穂拾い”が止まらない。平岡正明氏の文庫解説(これが私にはうれしい)によれば、平岡氏の<周囲(まわり)でとびきり評判がいい>というが、よくできた冒険小説。<船戸アクションの仕掛(ドラマツルギー)>には舌を巻き、最後まで楽しめた。楽しいだけじゃなく、1980年のアメリカ合衆国を取り巻く世界情勢が巧みに織り込まれている。豊浦志朗名義の『叛アメリカ史』(ちくま文庫)も手元にあるので、読み直してみたくなった(既読かもしれないが、内容はおぼろ)。次は1982年刊の『蛮賊ども』にとりかかろう。
読了日:12月30日 著者:船戸 与一

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2025年12月30日 (火)

【読】2025年に読んだ本(メモ)

今年2025年、あまり本を読めなかった。
年間57冊は、さびしい。

11月頃から、船戸与一さんの古い小説を読み続けている。
初読が多い。
「落ち穂拾い」と称している。

あとは、村上春樹の再読と初読。

三五館シンシャの「〇〇日記」シリーズも、夢中になって読んでいた。

【1月】
●2024/12/25~1/2 中村安希 『もてなしとごちそう』 大和書房 (2020/10/5) 255ページ
●1/2~1/13 角幡唯介 『地図なき山 日高山脈49日漂泊行』 新潮社 (2024/11/20) 281ページ
●1/15~1/31 中村安希 『愛と憎しみの豚』 集英社 (2013/1/30) 332ページ
【2月】
●2/5~2/6 内田正治 『タクシードライバーぐるぐる日記』 三五館シンシャ (2021/10/1) 204ページ
●2/8~2/10 須畑寅夫 『バスドライバーのろのろ日記』 三五館シンシャ (2023/6/1) 203ページ
●2/11~2/12 真山剛 『非正規介護職人ヨボヨボ日記』 三五館シンシャ (2021/5/10) 204ページ
●2/13~2/15 柏耕一 『交通誘導員ヨレヨレ日記』 三五シンシャ (2019/7/26) 207ページ
●2/15~2/16 南野苑生(みなみの・そのお) 『マンション管理人オロオロ日記』 三五館シンシャ (2020/10/1) 203ページ
●2/17~2/19 仁科充乃(にしな・よしの) 『コンビニオーナーぎりぎり日記』 三五館シンシャ (2023/8/20) 204ページ
●2/19~2/23 梅村達 『派遣添乗員ヘトヘト日記』 三五館シンシャ (2020/3/1) 203ページ
-10-
【3月】
●2/25~3/4 松本孝夫 『障害者支援員もやもや日記』 三五館シンシャ (2023/2/1) 204ページ
●3/5~3/8 安沼保夫 『警察官のこのこ日記』 三五館シンシャ (2025/2/1) 204ページ
●3/10~3/24 佐東しお 『介護ヘルパーごたごた日記』 三五館シンシャ (2024/9/1) 204ページ
●3/27~3/28 勢古浩爾 『77歳、喜寿のリアルーーやっぱり昔はよかった!?』 草思社 (2025/2/28) 174ページ
【4月】
●3/25~4/18 船戸与一 『非合法員』 小学館文庫 (2015/1/10) 483ページ
●4/19~4/22 内田樹 『沈む祖国を救うには』 マガジンハウス新書027 (2025/3/27) 227ページ
【5月】
●4/29~5/10 佐藤健太郎 『世界史を変えた新素材』 新潮選書 (2018/10/25) 230ページ
●5/11~5/21 中山茂大(なかやま・しげお) 『旅人思考でイスラム世界を知る本ーームスリムを理解するキーワード「ハビビ」』 言視舎 (2015/5/31)263ページ
●5/21~5/29 中山茂大 『ハビビな人々』 文藝春秋 (2010/2/10) 245ページ
【6月】
●5/29~6/8 片倉もとこ 『イスラームの日常世界』 岩波新書154 (1991/1/21) 227ページ
●6/9~6/29 大島直政 『イスラムからの発想』 講談社現代新書629 (1981/9/20) 196ページ
【7月】
●7/10~7/11 内田樹 『どうしたらいいかわからない時代に 僕が中高生に言いたいこと』 草思社 (2025/5/1) 94ページ
●7/10~7/29 池澤夏樹 『一九四五年に生まれてーー池澤夏樹 語る自伝』 岩波書店 (2025/7/3) 310ページ
【8月】
●8/2~8/4 村上春樹 『ねじまき鳥クロニクル 第1部 泥棒かささぎ編』 新潮文庫 (1997/10/1) 312ページ ※再読(初読2016/6)
●8/4~8/5 村上春樹 『ねじまき鳥クロニクル 第2部 予言する鳥編』 新潮文庫 (1997/10/1) 429ページ ※再読(初読2016/6)
●8/6~8/9 村上春樹 『ねじまき鳥クロニクル 第3部 鳥刺し男編』 新潮文庫 (1997/10/1) 600ページ ※再読(初読2016/6)
●8/2~8/9 沼野充義 『100分de名著 村上春樹 ねじまき鳥クロニクル』 NHKテキスト (2025/4/1) 123ページ
●8/26~8/29 インタビュー構成 稲熊均・嶋田昭浩 『昭和20年生まれからキミたちへ』 世界書院 (2025/8/5) 136ページ
【9月】
●8/23~9/19 村上春樹 『世界の終りとハードボイルド・ワンダーランド(上)』 新潮文庫 (2010/4/10) 471ページ
●9/20~9/23 村上春樹 『世界の終りとハードボイルド・ワンダーランド(下)』 新潮文庫 (2010/4/10) 410ページ
-30-
●9/23~9/24 村上春樹 『中国行きのスロウ・ボート』 中公文庫 (1986/1/10-2013/4/5 改版25刷) 288ページ
●9/24~9/25 村上春樹 『パン屋再襲撃』 文春文庫 (2011/3/10-2012/7/10 新装版第2刷) 234ページ
【10月】
●10/15~10/16 保坂正康 『平成の天皇皇后両陛下大いに語る』 文藝春秋 (2024/11/10) 181ページ
●9/26~10/16 村上春樹 『レキシントンの幽霊』 文春文庫 (1999/10/10/-2018/5/5 第32刷) 213ページ
●10/8~10/22 辻󠄀田(辻田)真佐憲 『「あの戦争」は何だったのか』 講談社現代新書2780 (2025/7/20-2025/9/19第五刷) 286ページ
●10/29~10/30 村上春樹 『TVピープル』 文春文庫 (1993/5/8) 210ページ
【11月】
●10/24~11/2 辻󠄀田(辻田)真佐憲 『ルポ 国威発揚 「再プロパガンダ化」する世界を歩く』 中央公論新社 (2024/12/10) 392ページ
●11/1~11/4 加藤典洋 『村上春樹は、むずかしい』 岩波新書1575 (2015/12/18) 259ページ
●11/7~11/8 辻󠄀田(辻田)真佐憲 『「戦前」の正体 愛国と神話の日本近現代史』 講談社現代新書2705 (2023/5/20) 298ページ
●11/8~11/12 辻󠄀田(辻田)真佐憲 『天皇のお言葉 明治・大正・昭和・平成』 幻冬舎新書547 (2019/3/30) 377ページ
-40-
●11/13~11/17 真藤順丈 『宝島 上』 講談社文庫 (2021/7/15) 448ページ
●11/17~11/18 真藤順丈 『宝島 下』 講談社文庫 (2021/7/15) 256ページ
●11/18~11/24 船戸与一 『山猫の夏』 講談社文庫 (1995/11/15) 726ページ
●11/24~11/27 船戸与一 『神話の果て』 講談社文庫 (1995/11/15 新装版) 538ページ
●11/27~11/30 船戸与一『伝説なき地 上』 双葉文庫 (2003/06/20) 587ページ
【12月】
●11/30~12/2 船戸与一『伝説なき地 下』 双葉文庫 (2003/06/20) 519ページ
●12/2~12/4 小松由佳 『シリアの家族』 集英社 (2025/11/30) 316ページ
●12/5~12/7 松竹伸幸 『<全条項分析>日米地位協定の真実』 集英社新書1055A (2021/2/22) 269ページ
●12/9~12/12 高野秀行 『酒を主食とする人々 エチオピアの科学的秘境を旅する』 本の雑誌社 (2025/1/23) 275ページ
●12/12~12/12 高野秀行 『世界のシワに夢を見ろ!』 小学館文庫 (2009/1/13) 237ページ
-50-
●12/13~12/15 吉田敏浩 『横田空域 日米合同委員会でつくられた空の壁』 角川新書 (2019/2/10) 285ページ
●12/16~12/17 船戸与一 『カルナヴァル戦記』 講談社文庫(新装版) (2016/11/15) 423ページ
●12/18~12/20 船戸与一 『緑の底の底』 徳間文庫 (2000/7/15) 566ページ
●12/21~12/22 船戸与一 『黄色い蜃気楼』 双葉文庫 (1995/9/15) 611ページ
●12/23~12/24 船戸与一 『祖国よ友よ』 徳間文庫 (1992/10/15) 313ページ
●12/24~12/27 船戸与一 『群狼の島』 徳間文庫 (1992/4/15) 375ページ
●12/27~12/30 船戸与一 『夜のオデッセイア』 徳間文庫 (1985/4/15) 376ページ ※解説:平岡正明
 12/30~ 船戸与一 『蛮賊ども』 角川文庫 (1987/11/25) 333ページ

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2025年12月 1日 (月)

【読】2025年11月に読んだ本(読書メーター)

なかなか本を読めない日々が続いていたが、11月になってようやく、本を読むクセが戻ってきた。

11月の読書メーター
読んだ本の数:9
読んだページ数:3924
ナイス数:122

ルポ 国威発揚-「再プロパガンダ化」する世界を歩く (単行本)ルポ 国威発揚-「再プロパガンダ化」する世界を歩く (単行本)感想
少し前に読んだ、この著者の新刊『「あの戦争」は何だったのか』(講談社現代新書/2025年7月)に導かれて読んでみた。「国威発揚」<ナショナリズムが再評価され、力を増している文脈において、政治と文化が複雑に絡み合って生じる現象全般を指す(巻末「総論」)>を考えるために著者がとった方法<国内外約35か所を巡っての取材>がユニーク。「安部神像神社」(第三章)を始め、おったまげるような施設や像、記念碑が紹介されていて、興味深い。「上からの統制」を支える「下からの参加」という指摘には、なるほどと思う。読み応えあり。
読了日:11月02日 著者:辻田 真佐憲

村上春樹は、むずかしい (岩波新書)村上春樹は、むずかしい (岩波新書)感想
再読(のはず)。『村上春樹は、むずかしい』は、むずかしい――というのが感想。著者の論の半分も理解できず。この新書が出てすぐの頃、参加した読書会でとりあげられた。その時の参加者の一人が、上の感想を述べたのだった。一度読んでいるはずなのに、内容は新鮮だった。というのも、その後、本書で論じられている村上作品をほとんど読んだせいか、取りあげられている作品に馴染みがあったから(といっても、それらの作品の内容の記憶は、すでにおぼろ)。『神の子どもたちはみな踊る』と『海辺のカフカ』だけは、もう一度読んでみたい気もする。
読了日:11月04日 著者:加藤 典洋

「戦前」の正体 愛国と神話の日本近現代史 (講談社現代新書 2705)「戦前」の正体 愛国と神話の日本近現代史 (講談社現代新書 2705)感想
最近、この人の著作にハマり、この新書も読んでみた。じつに面白い。帯にあるキャッチ「右派は誇り、左派は恐れる 戦前日本の本当の姿とは?」のとおり、たくさんの例証をあげながら「戦前」の「正体」をていねいに論じており、読んでいて発見が多かった。「大日本帝国は、神話に基礎づけられ、神話に活力を与えられた神話国家だった」(はじめに)。そういえば、この著者の『日本の軍歌』(幻冬舎新書)を読んだことがあった。『天皇のお言葉』(幻冬舎新書/2019年)も読んでみよう。難解そうな『日本書紀』にもチャレンジしようか。
読了日:11月08日 著者:辻田 真佐憲

天皇のお言葉 明治・大正・昭和・平成 (幻冬舎新書)天皇のお言葉 明治・大正・昭和・平成 (幻冬舎新書)感想
明治・大正・昭和・平成の天皇が発した公的・私的な「お言葉」から、それぞれの姿を浮き彫りにしている。なかなかの力作。明治天皇が出身地の京言葉で話したという、そのくだけた口調が微笑ましい。昭和天皇が「現憲法の施行後も君主として振舞おうとしていた」との指摘は鋭い。沖縄に関して「米国に『長期貸与』すべしという」発言も(非公式に)あったし。本書は「平成天皇」の譲位が決まり「令和」になる直前(2019年3月)に刊行されている(この年5月から「令和」)。2016年8月の平成天皇「ビデオメッセージ」の分析も興味深い。
読了日:11月12日 著者:辻田 真佐憲

宝島(上) (講談社文庫 し 106-2)宝島(上) (講談社文庫 し 106-2)感想
6年ぶりの再読。第二部後半から、がぜん面白くなってきた。が、冒頭からしばらくのあいだ、読みにくさを感じてしょうがなかった(これほどまどろっこしい文章だったっけ?)。ウチナーグチのルビも邪魔な気がした。第二部最後、ヤマコとおばあたちの会話こそ、ウチナーグチにすべきではなかったか? それでも骨太なストーリーにぐいぐいと引き込んでいくのは、さすが。キャラウェイ暗殺未遂事件などは、本当にあったことかと思ったほど。初読の記憶がほとんどないのだが、この先(下巻・第三部)の展開が楽しみ。オンちゃん、生きていてほしい…。
読了日:11月17日 著者:真藤 順丈

宝島(下) (講談社文庫 し 106-3)宝島(下) (講談社文庫 し 106-3)感想
壮大な物語がみごとに閉じる。オンちゃんの失踪の謎が、きれいに解ける結末も、さすが。この作品が第160回直木賞を受賞したときの選評(ほぼ満票だったらしい)を見ても、選者たちが寄せた高評価がうかがい知れる。
https://prizesworld.com/naoki/senpyo/senpyo160.htm
ただ、6年前の初読のときのあの興奮は蘇らなかった。
読了日:11月18日 著者:真藤 順丈

山猫の夏 新装版 (講談社文庫 ふ 30-8)山猫の夏 新装版 (講談社文庫 ふ 30-8)感想
熱愛する作家・船戸与一の初期長編。数か月前、船戸さんの処女作『非合法員』を読み、この「南米三部作」第一作が読みたくなったところで数か月が過ぎた。いちど読んでいるのかどうか憶えていないが、新鮮だった。文庫で700ページを超える大作。プロットが絶妙で、最後まで目が離せない。「山猫」と呼ばれるじつに魅力的な主人公に引きずられ、ブラジルの架空の町「エクルウ」での抗争に巻き込まれる語り手の「おれ」。文体もいい。次に「三部作」第二作『神話の果て』、第三作『伝説なき地』(いずれも再読かどうか不明)に続けたい。
読了日:11月24日 著者:船戸 与一

神話の果て 新装版 (講談社文庫 ふ 30-9)神話の果て 新装版 (講談社文庫 ふ 30-9)感想
船戸さんの初期長編。「南米三部作」第二作。憶えていないが、初読かも。これも、よくできた小説で面白かった。南米ペルーが舞台。登場人物一覧が付いていないため、人名がなかなか頭に入ってこなかったが、簡単な地図が付いているのはありがたい。調子に乗って、第三作『伝説なき地』(上下巻の大作)も読んでみよう。
読了日:11月27日 著者:船戸 与一

 

日本推理作家協会賞受賞作全集 58 (双葉文庫 ふ 7-2)日本推理作家協会賞受賞作全集 58 (双葉文庫 ふ 7-2)感想
『山猫の夏』『神話の果て』に続く「南米三部作」第3作。長らく書棚に眠っていたが、既読かどうかは不明(たぶん読まずに置いてあった)。文庫上下2巻、1100ページにも及ぶ大作。多彩な登場人物たちの動きが、この上巻最後で繋がる予感。ここまでの伏線がみごと。登場人物たちが、みな生き生きしていて、その描写も秀逸。簡単な地図はあるものの、登場人物一覧があると、もっとよかったのだが。
読了日:11月30日 著者:船戸 与一

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